思わせぶりなメッセージで万引が年18%減った訳 ちょっとした仕掛けでお困りごとは解決する

拡大
縮小
つい、ゴミを捨てたくなる「バスケットゴールのゴミ箱」(著者撮影)
この記事の画像を見る(4枚)
仕掛けのアイデアで、お金や労力をかけずとも問題解決する。その積み重ねが、社会を確実にいい方向に変えていく。そんなシンプルなコンセプトを掲げる学問が「仕掛学」である。
英語版を含む世界で広く読まれ、10万部を突破した『仕掛学:人を動かすアイデアのつくり方』の続編にあたる『実践仕掛学:問題解決につながるアイデアのつくり方』を上梓した大阪大学大学院経済学研究科教授の松村真宏氏が、事例をまじえながら、仕掛学のエッセンスについて語る。

バスケットゴールで、ゴミの数は増える?

ゴミ箱の上にバスケットゴールをつけると、ゴミ箱を使う人はどれくらい増えるだろうか?

実践仕掛学: 問題解決につながるアイデアのつくり方
『実践仕掛学: 問題解決につながるアイデアのつくり方』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

わかりやすいので著者のお気に入りの仕掛けであるが、本当に効果があるのか、あるとしたらどれくらいの効果があるのかは調べてもはっきりわからなかった。

そこで、実際にバスケットゴールのついたゴミ箱を製作し、2016年6月24日(金)から7月29日(金)の平日、普通のゴミ箱と並べて大阪大学豊中キャンパスのピロティに設置する実験を当時のゼミ生たちと行った。

実験の結果、バスケットゴールのついたゴミ箱を使った人は411人、普通のゴミ箱を使った人は257人であった。バスケットゴールのついたゴミ箱のほうが1.6倍も利用者が多かった。

次ページつい行動してしまうきっかけをつくる
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT