思わせぶりなメッセージで万引が年18%減った訳 ちょっとした仕掛けでお困りごとは解決する

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ゴミは軽くて形もいびつなため投げてもちゃんと飛ばず、シュートしても外す人が多かった。しかし、シュートを外した人は皆ゴミを拾い、入るまでシュートを繰り返していたので、周囲にゴミが散らかることにはならなかった。

また、シュートが決まった人の多くは嬉しそうな表情を浮かべていたことから、楽しみながらゴミ箱を利用していた様子がうかがえた。

このような、つい行動してしまうきっかけになるものを著者は仕掛けと呼んでいる。しかし、いざ仕掛けを作ろうと思った時に、どうすれば仕掛けを作れるのかわからないし、どのような勉強をすれば仕掛けを作れるようになるのかもわからない。そこで、人の行動を促す仕掛けの体系的な理解を目指す学問分野として、仕掛学を提唱した。

駅の階段を使ってもらうための試み

駅の階段を使ってもらうためにこんな仕掛けを試みたこともある。

それが、「大阪環状線総選挙」である。

つい、階段を登りたくなる「大阪環状線総選挙」(著者撮影)

JR大阪駅は1日の乗降客数が約87万人 (全国4位)と大変賑わっている。駅構内のエスカレーターも非常に混み合っているが、エスカレーターの混雑は転倒事故につながるおそれがあるため、混雑緩和が求められている。そこで、エスカレーターの利用客を併設されている階段に促す仕掛けとして、株式会社JR西日本グループといっしょに「大阪環状線総選挙」を実施した。

大阪環状線総選挙は、駅利用者にポスター等の掲示を通して「アフター5に行くならどっち?天満派 福島派」を問いかけ、階段の右側を通れば「天満派」、左側を通れば「福島派」に投票できるようにしたものである。天満駅も福島駅も大阪駅から1駅の場所にあり、どちらにも栄えた繁華街がある。どちらかといえば天満は庶民的、福島は都会的な飲食店が多く、人によってひいきの場所が分かれる場所である。

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