損保ジャパンがビッグモーター問題で犯した「罪」 現役役員からも櫻田氏の引責辞任は必至の声

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入庫再開を決めた役員ミーティングの最終盤、白川社長はある指示を出している。それは、ミーティングの2カ月前にあった損保3社の社長による会合で「三井住友海上の舩曵(真一郎)社長から『ビッグモーターは付き合うレベルの会社ではない』と物凄い剣幕で迫られた。ビッグモーターの自主調査報告書を現時点でどう捉えているのか、確認してほしい」という指示だ。

社長の指示をスルーした役員たち

白川社長としては、激しい剣幕で迫ってきた舩曵社長の言動が演技だったとは、とても思えなかったのだろう。その真意を聞いてみてほしいと中村氏らに指示したが、役員の中でその指示に忠実に応えた人物は一人もいなかった。もし確認すれば、抜け駆け説があえなく否定され、入庫再開が取り消しになってしまうからだろう。

経営企画畑を主に歩み、一時は社長候補にも挙げられた中村氏は、自らの発言が会議の場でどのような作用を及ぼすか、よく理解していたはずだ。特に入社年次が8年下の白川氏への影響については、容易に想像がついたのではないだろうか。

損保ジャパンが4万5000店超の代理店と取引する中で、収入保険料がトップ20に入る超大型代理店で起きた不正請求問題について、白川氏が初めて認識したのは、5月の3社長会合で三井住友海上の社長から対応方針を尋ねられたときだという。

白川氏は初耳だったため、ビッグモーターへの対応方針についてまともに答えられず、その屈辱感は相当に大きかったとみられる。その証拠に、会合が終わった後、すぐさま中村氏らに電話をかけ、ビッグモーター問題の概要について説明を求め、翌日には詳細を報告させている。

ビッグモーター問題を自らの手で収束させようとしていた中村氏にとって、あえて何も報告せず蚊帳の外に置いていた白川社長が、個々の対応方針の意思決定に入り込み、それまで及び腰だった入庫停止などに一気に踏み込み始めたことで、焦りを覚えたのかもしれない。

入庫停止→ビッグモーターによる自賠責の割り振り停止→売り上げ急減、というシナリオが現実味を増す中で、減収の責任を背負わされかねない中村氏は「いち早く入庫再開し、失地回復するタイミングを図っていたのではないか」(大手損保幹部)と見る関係者は多い。

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