金融庁は近く損害保険ジャパンと中古車販売大手ビッグモーターに対して、立ち入り検査に踏み切る方針を固めた。事故車修理費用(保険金)の不正請求をめぐって、保険会社と事業会社の双方に同時に立ち入るという極めて異例の態勢で検査に臨む。
金融庁は板金部門も検査対象に
ビッグモーターについては、自動車保険を扱う保険代理店としてだけでなく、不正請求の舞台となった板金部門についても検査の対象とする。板金部門は本来、整備事業として国土交通省の管轄だ。しかし今回の事案は、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)や任意保険の販売(募集)と半ば一体となった保険金の不正請求であることを踏まえ、板金部門や各工場についても徹底して検査する方針だ。
ビッグモーターをめぐっては、保険金の不正請求に加えて、架空契約(作成契約)にも手を染めていたことが発覚している。各店舗には自動車保険の販売で厳しいノルマが課されており、展示車両に保険をかけ保険料を従業員が自腹で払うことで、ノルマを達成するような行為が横行していた。
現時点で判明している架空契約は100件超だが、件数は今後膨らむ可能性がある。架空契約は、店舗の販売実績として計上された数カ月後に早期解約されるケースが多いという。そうした架空契約の予兆を、保険会社が把握していながら黙認していた可能性もあり、金融庁は調べを進める。
他方、損保ジャパンに対する検査の焦点は大きく2つある。不正請求の隠蔽と企業統治の機能不全だ。
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