損保ジャパンの中間報告書に記載はないものの、あいおいが入庫紹介の停止をビッグモーターに通知したことや、三井住友海上が抜け駆け説を真っ向から否定する回答をしてきたことは、中村氏にも当然ながら報告されている。
兼重氏が持参した「お土産」
にもかかわらず、中村氏が三井住友海上の抜け駆け説を役員ミーティングで唱えてみせたのはなぜか。単純に、中村氏の心中では嫌疑が晴れていなかったということなのかもしれないが、考えられる別のシナリオは、兼重氏に対して入庫再開の方針を役員ミーティングより前に、それとなく伝えてしまっていたということだ。
それを裏付けるかのように、兼重氏は昨年7月11日の中村氏との面談目的について「入庫再開のお礼」と記者会見で述べている(後にホームページで発言を修正)。またその面談時に兼重氏は、その後に出店を予定している2店舗について損保ジャパンのテリトリー(担当)とする「お土産」まで持参していた。
とっさの判断で差し出せるような類の「お土産」ではない。前もって入庫再開の方針を損保ジャパンから伝えられていたからこそ、兼重氏がほかの役員と相談したうえで準備し、持参したとみるのが自然だ。
もしそうであれば、中村氏としては役員ミーティングの場で入庫再開の流れを何としてもつくる必要があり、無理筋な抜け駆け説を唱えて白川社長をうまく入庫再開へ誘導したのではないだろうか。
裏付ける材料はほかにもある。
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