損保ジャパンがビッグモーター問題で犯した「罪」 現役役員からも櫻田氏の引責辞任は必至の声

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板金部長が第三者委の設置になおも渋り続ける中で、損保ジャパンの担当者はしびれを切らすように「そもそも調査が長期化してしまうほど、何年も前から不正が起きているということなのか」と問いかけた。

すると、痛いところを突かれた板金部長が「2社とせっかく建設的な対話をしているのに、損保ジャパンだけは何年もさかのぼって調査しろと言うのか。二度と顔をみせるな」と激怒し、その場を追い出されてしまった。

不用意な発言だったが、損保ジャパンの担当者は突然激怒され追い出されたことで、三井住友海上はやはりビッグモーターと裏で握っているという疑いをさらに強めることになった。損保ジャパンの中間報告書にもその経緯は簡潔に書かれており、それが7月6日の役員ミーティングにおける中村氏の冒頭発言につながっていったと整理されている。

中間報告書には抜け落ちている事実

ところが、中間報告書には実は抜け落ちている事実がある。それは同協議のあと、すぐに損保ジャパンが三井住友海上に対し、「抜け駆け説」や「あいおいとの結託説」が浮上しているが本当かと、二度にわたって直接問いただしているという事実だ。

疑いをかけられ面食らった三井住友海上の担当者は、役員を通じてあいおいに照会をかけたところ、あいおいも6月28日に入庫紹介を停止することを、ビッグモーター板金部長らに直接通知していたことを確認。そのことを損保ジャパンの担当者にも回答して、嫌疑は晴れたはずだった。

そもそも、MS&ADという同じグループでありながら、あいおいの入庫停止の動きについて照会をかけるまで三井住友海上が知らなかったというのは理解しがたい話だが、この2社の微妙な距離感については、損保業界の人間であれば、誰しもが知っていることだ。

そうした両社の間柄を理解し、「結託しているとは考えにくい」と思ったからこそ、念押しの確認のために損保ジャパンの担当者は三井住友海上に問いただしたのだろう。もし本気で怪しんでいたのであれば、東京海上の担当者と連携して、三井住友海上を問い詰めれば良かったはずだが、そのような形跡は見当たらない。

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