大手損保4社はウミを出し切ることができるか ビッグモーターや保険料カルテルなど問題山積

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ビッグモーターの検査に入る金融庁の職員(撮影:風間仁一郎)

中古車販売大手ビッグモーターが、車検や板金業務で不正の限りを尽くしていたことが世間に知れ渡り、大きな騒動に発展した今年7月下旬。損害保険ジャパンの営業担当者はある提案資料を携えて、西日本地域の自動車ディーラーを訪問していた。

騒動後も事故車紹介で自賠責獲得の営業を継続

「御社の業務に貢献させて頂きます」。力強い言葉とともに、営業担当者が提案したのは自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)の割り振りについて。損保ジャパンとして、月間にこれだけの台数の事故車を入庫紹介するので、その見返りとしてこの金額分の自賠責契約を自分たちに割り振ってほしいという実に生々しいものだった。

その提案に、自動車ディーラーの担当者は面食らった。無理もない。このときすでに、ビッグモーターと損保各社における、入庫紹介と自賠責の「交換取引」が、保険金の不正請求につながる構造的な要因になっているのではないかと、問題になっていたからだ。

しかも損保ジャパンは不正請求をめぐってビッグモーターとの癒着を疑われ、まさに疑惑の渦中にあった。そのことで世間が大騒ぎになっているにもかかわらず、自らの営業成績を優先させる活動にいそしんでいたわけだ。

損保ジャパンとして、そうした営業活動を容認しているのか尋ねると「全社的に2023年7月末には、積極的な修理工場の紹介を控えるよう職員に対して連絡している。現在は工場を紹介してほしいという要望があった場合のみ、顧客の要望に沿った修理工場の紹介をしているため、個別のディーラーに対するDRS(入庫紹介)件数の約束はできない状態という認識だ」と回答した。

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