大手損保4社はウミを出し切ることができるか ビッグモーターや保険料カルテルなど問題山積
自浄作用に不安が残るのは損保ジャパンだけではない。
ビッグモーター問題よりも「闇が深い」(金融庁幹部)とされる保険料カルテル問題をめぐっては、ほかの大手損保でも首をかしげたくなるような対応をしている。保険料カルテル問題とは、複数の損保が価格カルテルを結ぶことで競争を避け、不当に高い保険料を得ようとしていた問題だ。
カルテル事案を3カ月近く身内に隠した東京海上
今春発覚したのは東急グループ向け共同保険でのカルテル事案。幹事会社として主導的な役割を演じたのは東京海上日動火災保険だ。東急の社外監査役に東京海上が歴代の社長を送り込むなど、親密な関係を保ってきた中での違法行為だった。それだけに、東京海上の広瀬伸一社長が東急側に頭を下げる事態にまで発展した。
監督官庁である金融庁に、どの損保よりも早く今年3月に不祥事として届け出をしており、そこには業界最大手としてのプライドと周到さが見え隠れする。しかし問題なのは、金融庁への報告から3カ月近く経っても、トップが頭を下げることになった「事件」を、一部の社員にしか知らせなかったことだ。
今年6月中旬、再発防止策として独占禁止法に関する研修を始めたが、当初は東急の事案にまったく触れておらず、なぜ今そんな研修を始めたのか不思議がる社員は少なくなかった。
幅広い社員を研修対象にすることで、東急の事案が明るみに出るのを避けようとしたとみられるが、再発防止の実効性を少しでも高められる研修内容とするのであれば、身内にも隠すというのは本来あり得ない判断だ。
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