損保大手4社「覆面座談会」で見えた残酷な実態 「不正請求は日常茶飯事」「在庫車を強制購入」
中古車販売大手ビッグモーター(BM)による保険金不正請求と、保険料カルテルという2大不正事案の発覚で大揺れの損害保険業界。長年にわたる商慣習の闇が詰まった「パンドラの箱」が開いてしまった今、社員たちは何を思い、どのような苦悩を抱えているのか。
東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の大手4社の社員7人に、匿名で実情を語ってもらい、座談会形式でまとめた。
不正請求はディーラーでも日常的にある
──BMが修理費の水増し請求や架空契約など法令違反の限りを尽くしていた事件について、どのような視点で見つめ、受け止めていましたか。
Aさん そもそもほとんどの社員はBMとは関わりがありません。世間一般の人たちと同じように「こんなひどい企業があるのか」という視点で見ていました。
ただ、中販店や損サの実態を知っている社員からしてみると、さもありなんという感じです。修理費の不正請求なんて、BMに限らず、大手のディーラーでも日常的にありますから。それが今回、センセーショナルな形で世に知れ渡ってしまったなと。
[中販店]中古車販売店(事業者)の略称。保険代理店のほか、車検や板金などの整備工場も兼ねているケースが多い。
[損サ]損害の程度を調査し、保険金の支払いを担当する損害サービス部門のこと。
[ディーラー]完成車メーカー系列の販売ディーラー。保険代理店を兼ねており、大手では収入保険料が200億円を優に超える。
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