「魚が獲れない日本」漁師の減少が原因ではない訳 漁師が減っても魚が増えるノルウェーと日本の差
日本と同様に漁業者が減り続けるノルウェー。しかしながら、ノルウェーの生産量は減るどころか横ばいか徐々に増えています。一方で生産量の減少が止まらない日本は、2021年にノルウェーに追い抜かれて世界のベスト10から転落してしまいました。1970年代の前半から1980年代の後半にかけて「世界最大」の生産量を誇り、日本の食卓を助けてきた姿はすでにありません。
また見ていただくとわかりますが、ノルウェーに抜かれたというより、日本の数量が落ち続けているだけであることもわかります。漁業者が減ったことで生産量が減ったのではないことは、この例だけでもわかります。
そもそも、魚が減っていなければ、残った漁業者の漁獲量が増えてバランスが取れるはずです。一方で魚が減っていれば、漁業者の数が減っても漁船ごとの漁獲量は増えません。それどころか、魚が獲れないので、魚を小さな魚にまで手を出してしまい、ますます魚が減っていきます。残念ながら国際的な視点で見ると、この最悪のパターンが、全国の漁業で起きているのです。
漁船が減っても漁獲量は減らないノルウェー
また漁船数が減っても漁獲量が減るわけではありません。次のグラフはノルウェーの漁船数の推移です。1980年頃には2万5000隻あった漁船は、現在ではその5分の1の5000隻程度しかありません。しかしノルウェーでは、漁業者も漁船数も減少していますが、資源量が減っていないので漁獲量は減っていません。
もちろん年により環境による変化はあります。しかし数量管理が機能していることで、資源のサステビリティに大きく貢献しています。また、5年後、10年後そしてその先も、魚を獲り続けられることはわかっています。ですから漁船や水産加工場への設備投資も盛んで、次々に新造船や水産加工場の設備増強が続いていくのです。
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