M&Aに「失敗する企業」「成功する企業」の決定差 買収におけるもっとも重要なことは何か
正論を言えば、その目的を最も達成しやすそうな企業を選べばよい。最も「M&A難易度」が低いものを選ぶのが賢明だろう。1社に固執して買収検討を進めてしまうよりも、複数の候補を持つことは、「1社に惚れ込まず、しっかり比較してから決められる」という点で健全だし、社内外のステークホルダーに説明責任も果たせる。
理想の相手を見つけるには手段は選ぶな
では、複数の「買いたい企業」候補を見つけるには、どうすればよいか?
それには、アプローチ方法として、「買いたい企業」の選定プロセスを複数持ち、使い分ければよい。私が提唱する1つの選定プロセスが「口説き型プロセス」である。自社の戦略として必要なパズルのピースを定義し、その要件に合致した企業をリストアップし、自ら口説いていくというもの。
そして、もう1つの選定プロセスが「持ち込まれ型プロセス」である。金融機関や仲介会社から売り案件の紹介を受け、自社の戦略とフィットしたものを見極め、仲介されるというもの。
あえて“結婚”の文脈でとらえれば、「口説き型プロセス」で買収するのは“恋愛結婚”、「持ち込まれ型プロセス」で買収するのは“お見合い結婚”に近いとも言える。数ある中から、理想の相手と出会い、結婚したければ、どちらの手段も持っておくに越したことはないだろう。それはM&Aにおいても同様。片方のアプローチ方法だけに拘ってしまうと、理想の企業と出会えないかもしれない。
ただし、それぞれの選定プロセスにおいて注意すべきことはある。たとえば、「口説き型プロセス」においては、要件をしっかりと定義しておかないと、理想の企業を探し出すことはできない。また、「持ち込まれ型プロセス」においては、持ち込んでくれる仲介者に対して、事前に要件を伝えておかないと、理想でも何でもない企業を勧められてしまうかもしれない。
これら2つの選定プロセスを正しく使いこなすことが、「相手選び」を成功させる、ひいてはM&Aを成功させるカギなのだ。
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