M&Aに「失敗する企業」「成功する企業」の決定差 買収におけるもっとも重要なことは何か

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ピンとこない方は、M&Aを結婚にたとえて考えてみよう。

想像してほしい。「結婚したらこんなことしてみたい」とか、「将来は家族を作ってこういう人生を送りたい」とか、結婚後の夢を語るような人が周りにいないだろうか。そういった、結婚後の展望をウキウキ語ったり、心の中で思ったりしているということは、まさに、結婚の“目的を明確化”できている状態だともいえる。

では、そういった「結婚の目的を明確にできている人」が、結婚後に実際、それらの目的をしっかり達成できているのか考えてみよう。大変残念ではあるが、全員が全員、当時ウキウキ語っていたような結婚後の生活を送れているわけではないだろう。

もちろん、何も考えずに結婚した人と比べれば、願望があった人のほうがそういった理想の人生に近づけるのかもしれないが、ここで言いたいのは、目的を明確化できたからといって、必ずしも、その目的を達成できるわけではないということだ。

買収後の統合活動よりも重要なこと

では、改めて聞こう。M&Aを成功させるために必要なことは何か?

M&Aについて経験や勉強されてきた方は、「んー、目的じゃないとすれば、PMI(ポストマージャーインテグレーション:買収後の統合活動)のことを言っているのだな?」と考えるかもしれない。

確かに、それも正しい。いくら買収交渉がうまくいって、無事に案件が成約できても、PMIがうまくいかなければ、当初設定していたM&Aの目的を達成することは難しい。狙っていたシナジーもなかなか出ないだろう。

しかし、M&Aを成功させるためには、PMIよりももっと重要なことがある。

「じゃあ、デューデリジェンス(買収監査)? バリュエーション(企業価値算定)? プライシング(買収価格の値付け)? いや、価格交渉か?」なんて頭に浮かんだM&A経験者には、肩透かしに感じるかもしれないが、あえて断言しよう。

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