中央教育審議会の「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」という答申では、次のように述べられています。
「一人一人の児童生徒が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となることができるよう、その資質・能力を育成することが求められている」
「自分のよさや可能性を認識する」とは、まさにアイデンティティです。「多様な人々と協働」というのは、今申し上げた多文化共生社会です。そして社会のルールが変わっていく中で、私たちがそれをどのように認識してどう行動していくか。子供たちにとってもそれは同じことで、気づきは早ければ早いほうがいい。本書『16歳からのライフ・シフト』を世に問うた意義はそこにあると考えています。
人生100年時代を生きるための教育活動の実践
宮田:さて、ここからはパネルディスカッションに移りたいと思います。
今、16歳の子供は半数以上が100歳を超えて生きると予測されています。100年時代に来る大きな変化の1つは、「学ぶ→働く→引退」という一斉行進の3ステージ型の人生からマルチステージ型の人生になるということです。
20歳前後まで教育を受けて就職して、65歳まで働き引退する、というモデルでは立ち行かない。就職した後も育児や起業、副業、ボランティア、自分探し、再教育などを挟みながら働き続ける、多様な選択肢を組み合わせる必要があります。
これからの子供たちが、そうしたマルチステージ型の人生設計ができるようになるにはどのような教育活動の実践が必要でしょうか。パネラーの皆様は本書の出版にもご協力いただき、それぞれに「人生をシフト」もされていますので、まずは自己紹介も兼ねてこの点をお聞かせください。