高度情報化社会では、知識の価値が下がります。知識とは柔軟性、流動性があり、常に拡張し展開可能な資源です。その資源を加工し、価値を持たせて発信していく。工業化社会のように、時間を守り、一斉に働くことが求められているのではなく、知識を柔軟に組み合わせてイノベーションを起こすことが必要不可欠な要件になっているのです。
知識基盤社会というのは、端的に言えば知恵です。「おばあちゃんの知恵」とよくいわれるように、その人の経験や歩み、価値観が大いに反映されます。すると創造性や思考力がより一層求められます。それは自身の人格の発露でもあります。「これはいい」「あれはダメ」などと選択を続けていった結果、オリジナリティが出てくるわけです。
またAIを含め、社会ではコミュニケーションが高速化しています。メールを送ればリアルタイムで相手に届く。しかも自分の仕事を夜、地球の反対側にいるブラジルの人にメールをすれば、朝からその仕事をやってくれます。私たちは徹夜しなくて済むわけです。するとビジネスのアイデアや解決策もどんどん高速化していく。
多文化共生社会とは、LCCを見れば一目瞭然でしょう。かつては金持ちしか海外に行けませんでしたが、今ではどこの国の人も簡単に移動ができます。するとさまざまな文化がもたらされますし、人の往来が活発になれば移住者も出てきます。島国日本も例外ではありません。すると、好むと好まざるとにかかわらず、まったく文化コードを共有しない人とどう関係性を構築していくかが問われます。
アイデンティティの重要性
総じて言えば、私たちは高度な情報の受発信の主体として創意工夫ができる、自らの創造性を発揮しやすくなっているということです。主体とは、すなわちアイデンティティです。さまざまな取り組みを通して知恵を生み出し、インプットとアウトプットを繰り返し、そこに内省が加わることで自身のアイデンティティが強くなっていく。そのことが非常に重要になります。