「漢字の勉強はムダ」と思う人が誤解する文章3選 たった1つの言葉で意味が大きく変わってくる
もう1つ例をお出ししましょう。
次の文章の解釈として、正しいのはAとB、どちらでしょうか?
「佐藤氏の政策は恣意的な要素が含まれている」
A 著者は、佐藤氏の政策を肯定している
B 著者は、佐藤氏の政策を否定している
これも、「恣意的」という言葉がどんなニュアンスを持っているのか、わかっていれば答えられる問題です。
恣意的とは、「わがままで、自分本位に物事を決める」ことを指します。マイナスなニュアンスで使われ、「恣意的だ」と指摘しているということは、否定していることになります。だから先程の質問の答えはBです。
逆にこれが、「佐藤氏の政策は示唆的な要素が含まれている」だったら、どうでしょう?この場合は、Aのほうが正解です。示唆的とは、「直接的ではないけれど、間接的に何かの手がかりを提供している、何かの気付きを与えてくれる」ことを指します。つまりこれは何かを教えてくれるという意味で、肯定的なニュアンスになるのです。
1つの言葉で伝える意図が変わる
ということで、たった1つの言葉によって、その人が伝える意図などが変わってくるわけです。そして漢字の勉強をして、言葉に対する感度が高まっていれば、文章や相手の話に対する理解度も大きく向上するのです。
私は何人もの東大受験生たちを見ていますが、東大に合格できる生徒には特徴があります。それは、言葉に対する感度が高いことです。こちらが使うちょっとした言葉から、「先生はこの言葉を選んだということは、こういうことを伝えたいんだろう」と考えることができたり、逆に生徒自身の言葉も1つひとつ、こだわっていることが多いです。東大に合格する人は、言葉をよく知っているのです。
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