つんく♂:僕もけんすうさんも、noteである程度の期間、定期的に書いてきたものを1冊にまとめたわけですよね。
noteで原稿を書いていると、たとえば1つのトピックが2000〜5000文字くらいだと思います。それを体系化して1冊にまとめるのは、苦労はありましたか?
というのも、僕はつないだものを改めて読むと筋が通らないなと思うところがあって、「自分で書いたのに辻褄が合ってないやん!」みたいな部分を解消するのに苦労したんですよ。
けんすう:わかります! 1つひとつの記事では嘘をついてないのに、論理が合わなくなる(笑)。
3000文字なら上手にまとめられるのに、1冊の本、つまり10万文字になると、論理破綻するんですよね。だから編集者にチェックしてもらわないと、自分ではわからなくなっちゃうことがありました。
つんく♂:みんな普段いかに適当なことを言っているか(笑)。でも、それって人間が生き抜いていくための性みたいなものやろうね。その場しのぎ術みたいな。
一問一答的な質疑の場合、一見正論風に成立していても、それをまとめると論理がめちゃくちゃなことってあるじゃないですか。もしかしたらその「正論風」がめちゃくちゃうまい奴が超一流の政治家とか、超天才詐欺師なのかもしれませんね(笑)。
「究極のプロ論」が書かれている
けんすう:たしかに、点と点がつながってないのに、要所要所がうまい人っていますよね。でも、点と点を無理につなげようとすると、屁理屈やこじつけになっちゃうところもあって……。
つんく♂:だから、1冊の本にまとめることは、改めて自分の思考と向き合うことでもあると思いました。
けんすう:そうですね。1つひとつの記事がよくても、単にそれをまとめただけでは本にはならない。自分の考えを体系立ててまとめる作業を繰り返すからこそ、流れるように、読みやすい本になるんでしょうね。
つんく♂さんの本には「究極のプロ論」が書かれていると思いました。これはむしろ会社員の方々に読んでもらいたいです。
というのも、多くの会社員って、なぜか「プロ意識」が低いような気がするんです。