経済衰退・少子化「非正規雇用が元凶」という俗説 増えた非正規はほぼ「45歳以上の女性と高齢者」
1) 25~54歳の男性正規比率は89.7%
2) 1988年以降の非正規の増加は85%は学生と女性と高齢者
3) 男性の非正規雇用者は高齢者に多く、出生率の低下にはほぼ影響していない
4) 非正規雇用の増加は労働参加率の上昇を反映しているだけで、根本的な問題ではない
5) 扶養控除こそが日本における非正規雇用者の増加の主要因
「非正規雇用の増加が諸悪の根源」という俗説
日本経済は1990年代から停滞しており、ほとんど成長していません。その間、他の先進国では順調に賃金も上昇しましたが、日本だけまったくと言っていいほど上がらず、横ばいで推移しました。
このように約30年間にわたって経済が停滞し、賃金が上がらなかった原因について、いろいろな人がさまざまな見解を示しています。
アナリストとしては、そのほとんどが根拠の乏しい、いわゆる「俗説」だと考えています。その中の代表的なものの1つが、「非正規雇用者の増加が諸悪の根源」とする説です。
経済の停滞が顕著になった時期と、非正規雇用が増加した時期が重なっているため、その相関関係を見て「両者に因果関係がある」という短絡的な勘違いが生まれ、この「俗説」の背景になったと推察されます。
さらに、この俗説を唱えている人の中には、「非正規雇用の男性は結婚率が低い。非正規雇用は増えている。だから、非正規雇用の増加は少子化に拍車をかけている」とも主張し、「非正規雇用を減らせば、結婚する人が増え、出生率も上がる」とまで言う人も少なくないようです。
困ったことに、この俗説は広範囲に広まってしまっており、一般の人々の中にもこの説が「正しい」と信じ込んでしまっている人がいるようなのです。
すでにお察しいただいている方も少なくないと思いますが、今回、私がこの俗説を取り上げて紹介しているのは、この説が明らかに間違っていることをお伝えするためです。
では、実際のデータを見ながら検証していきましょう。
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