経済衰退・少子化「非正規雇用が元凶」という俗説 増えた非正規はほぼ「45歳以上の女性と高齢者」
では、非正規雇用が増えた背後にある理由は何でしょうか。
非正規雇用が増えたのは労働参加率の増加が原因
1988年以降、非正規雇用者の総数は1336万人も増加しましたが、その中で女性非正規雇用者が881万人と、全体の65.8%を占めています。
男性の非正規雇用者も457万人増加していますが、その内、65歳以上の男性が男性非正規の180万人の増加の39.4%を占めています。また、全体の非正規の増加の13.5%を占めています。
結果として、1336万人増えた非正規雇用者のうち、男性の15~24歳と65歳以上、それに女性が合わせて1136万人と、全体の84.9%も占めています。
要は、今まで労働市場に参加していない人が増えたことが、非正規が増えた原因となっています。労働参加率が高まったため、非正規雇用者の占める割合が大きくなったのです。正規雇用が減ったとか、正規雇用が非正規雇用に入り替わったという仮説は否定されます。
それを別のデータで確認してみましょう。1994年以降、正規雇用者は減りましたが、これは男性の正規雇用者の減少が主な要因です。
1994年に比べて男女計の正規雇用者は275万人も減っているのですが、実は男性の正規雇用者だけを見てみると、実に279万人も減っているのがわかります。女性の正規雇用はずっと増えています。
このように男性の正規雇用者が大幅に減ったのは、生産年齢人口の減少が直接影響しています。
男性はもともと労働参加率が非常に高いので、生産年齢人口が減ると、男性の正規雇用者の減少としてデータに表れるのです。
女性の場合は、もともとは労働参加率がそれほど高くなかったのですが、1988年以降、徐々に上昇したので、生産年齢人口の減少が雇用者の減少につながっているようには見えないのです。
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