「偽の環境配慮」と非難されないための企業戦略 カーボンクレジット活用上の留意点【後編】
1つ目は、国際標準である「GHGプロトコル」(温室効果ガスの排出量の算定基準)に沿って自社の排出量を算定し、開示することだ。
2つ目が、パリ協定の目標である1.5度に気温上昇を抑える道筋として、2030年までに自社の排出量をほぼ半減し、遅くとも2050年までにネットゼロにする目標の設定だ。
そして3つ目は、設定した目標に沿って着実に削減できていることを示すこと。
4つ目は日本企業にはあまりなじみがないかもしれないが、自社が脱炭素に野心的な政策(炭素税の強化など)を支持しているかどうか、そして政府がこれら野心的な政策を導入しようとしている場合にそれを妨げようとしていないか、を問うことだ。
TCFDへの賛同はなぜ重要なのか
「これらの前提条件を満たして初めて、企業はカーボンクレジット等を検討するべき」と示されている。
しかし、これらの前提条件を満たすことは簡単ではなく、どうやって実施するかで頭を抱える企業も多いだろう。そのために必要なガイダンスを提供する国際イニシアティブへの参加が奨励されている。
1つ目はCSRやESG部門の担当者にとっておなじみの国際組織CDPや、東証プライム上場企業にとって事実上の必須であるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言がある。
前者のCDPは、企業が環境情報を開示し、気候変動に対する取り組みを評価・共有する国際的なイニシアティブ。後者のTCFDは、気候変動に関連する金融情報の開示を促進し、企業や組織が気候リスクと機会について透明かつ一貫した情報を提供するための国際的な枠組みだ。
これらに沿って自社の取り組みを評価し、開示すれば、きちんとグローバルスタンダードにのっとった開示になるので安心だ。
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