「偽の環境配慮」と非難されないための企業戦略 カーボンクレジット活用上の留意点【後編】

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マレーシア・ボルネオでの森林伐採。生物多様性の宝庫が失われている(ddp/アフロ)

脱炭素経済をめざすことが世界標準となった現在、多くの企業が自社や自社製品のカーボンニュートラルの取り組みを競うように宣伝している。気を付けなければならないのが、その宣伝が「グリーンウォッシュ」(偽の環境配慮)だと非難されるリスクだ。欧米では着々とグリーンウォッシュを取り締まる法制化が進んでいる。

特に気を付けるべきは、温室効果ガス排出ネットゼロやカーボンニュートラル宣言をしながら、自社での温室効果ガスの削減努力で達成するよりも、カーボンクレジットを買って自社や自社製品の排出量をオフセット(相殺)することだ。それを安易に行うと、グリーンウォッシュだと非難されるリスクが高い。

科学的根拠に基づいて二酸化炭素(CO2)の削減を進めていくためには、2030年に向かってはまずは自社の排出量を企業努力によって半減させていくことが最も重要だ。このことは、前編の記事を参照してほしい。

それでは、カーボンクレジットはすべてダメなのかというとそうではない。国際的なスタンダードとして推奨されている高品質のクレジットは存在する。

グリーンウォッシュ回避で頼れる国際イニシアティブ

そもそもクレジット取引は気候変動問題に関するパリ協定第6条で正式に定められている市場メカニズムの一つでもある。しかし何をもって高品質のクレジットとなるかを理解することはなかなかに難しく、クレジット認証機関から認証を受けているクレジットならばよいだろうと安易に手を出すと痛い目にあってしまう。残念ながら、認証機関の質は玉石混淆だからだ。

そこで役に立つのが、カーボンクレジットをめぐる国際イニシアティブの最新動向を知っておくことだ。

日本には国際的に流通が認められた公的なクレジット制度はまだ存在しないから、必然的に国際イニシアティブが定める基準が事実上のグローバルスタンダードとなる。

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