「心理化」した職場の問題解決に不可欠な考え方 自前の理論よりも心理学的知見が効果的な理由

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心理学の知見活用が進まない理由の1つは、心理学が問題解決策を提供してくれるという誤った期待にあるのではないかと考えます。心理学の理論は状況を正しく理解するために用いられますが、その後に問題解決策を考える際には、一般的な理論ではなく、個別の状況についての十分な配慮が必要です。したがって、そこは現場に任されています。

アドバイスに対して相手が怒っている場合、単に相手の機嫌が悪かったのかもしれません。そうであるならば、人の攻撃性について研究した知見が役に立つでしょう。ひょっとすると、対人距離の捉え方に違いがあって、向こうはこちらが思っているほど、率直なコミュニケーションを期待していなかったのかもしれません。

後者の理解が正しいとすれば、アドバイスを直接伝えるのではなく、もっと客観的な方法でフィードバックすることを考えるか、相手が心を許している人から伝えてもらうことなどが考えられます。どちらの方法が適切かは、アドバイスの内容、活用可能なフィードバック方法、周囲にいる人たちの顔ぶれなどによって異なります。

状況に応じた解決策を考えることは、仕事の中で日頃やっていることと変わりません。心理化した問題の対処が難しい理由は、状況理解の不足にあると考えられるのです。

世代間ギャップを埋める打ち手の例

最後に、心理化した状況の理解が進んだ後で打ち手を考える場合の簡単な例を挙げておきます。

ここでは、組織の人的資源管理の考え方、仕事の特徴、組織メンバーの特徴などを考慮しながら、個々の現場の状況に合わせて対応策を考えます。対応策は、人間関係の改善など、社会的な側面に限りません。

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