今「ゲーム理論」の大家が継ぐ、宇沢弘文の遺志 『サステナビリティの経済哲学』松島斉氏に聞く

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『サステナビリティの経済哲学』著者の松島 斉氏
[著者プロフィル]松島 斉(まつしま・ひとし)/東京大学大学院経済学研究科教授。1960年生まれ。83年東京大学経済学部卒業。88年東京大学大学院博士課程修了(経済学博士)。筑波大学助教授、東京大学助教授などを経て2002年から現職。専攻は経済学、ゲーム理論。著書に『ゲーム理論はアート』がある(撮影:今井康一)
今日において、経済学の前提や原理は複雑な現代社会の要求に対応していない──。ゲーム理論の大家である著者は、サステナビリティ(持続可能性)の視点で経済学の新地平を切り開くことに挑む。本書はその第一歩だ。
サステナビリティの経済哲学 (岩波新書 新赤版 2027)
『サステナビリティの経済哲学 (岩波新書 新赤版 2027)』(松島 斉 著/岩波新書/1056円/248ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──経済学の最前線で活躍してきた松島さんが、自身の仕事の前提でもある経済学の基礎概念を痛烈に批判していることに驚きました。

2018年に書いた『ゲーム理論はアート』という本で、経済の問題をゲーム理論のさまざまなモデルを使って解きほぐすことに取り組んだ。そのときに、「ゲーム理論のモデルは本質的なことを説明するための材料にはなるが、ゲーム理論そのものは本質的ではない」という感覚を持った。

近年、気候変動についても真剣に考えるようになった。COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)では、各国の主権を侵害しないようなルールが決められた。毎年会合が開かれるので、そのうち皆が協力すると思ったのだろう。ゲーム理論においても、ある状況を繰り返す中では協力的な行動が選ばれると考える。

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