
[著者プロフィル]砂村栄力(すなむら・えいりき)/昆虫学者・写真作家。1982年生まれ。東京大学大学院で外来種アルゼンチンアリの生態および駆除に関する研究を行い博士号を取得。住友化学での殺虫剤の研究開発を経て現在は国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所で害虫の駆除研究に従事(林野庁出向中)(撮影:今井康一)
近年、日本でも侵入や被害の報告が増えている外来アリ。中でも爆発的な繁殖力を持つのがアルゼンチンアリだ。無数の巣が相互に連携し合う「スーパーコロニー」を築き高度な社会活動を行うアルゼンチンアリの驚異の生態を、気鋭のアリ研究者が解説する。
──近年、日本でも外来アリによる被害が顕在化している原因は。
経済のグローバル化が進み国際物流が盛んになる中で、国と国とを行き来するコンテナや貨物にアリが付着し世界中に広がった。近年、日本では中国経由でヒアリが侵入するケースが多い。米国では1900年ごろからアルゼンチンアリの被害が報告されている。
島国である日本への侵入は比較的遅かったが、私が大学で研究を始めた2005年にはすでに山口県岩国市などでアルゼンチンアリによる被害が顕在化していた。外来種は侵入後20年ほど経つと指数関数的に分布が拡大するとされ、アルゼンチンアリはまさにこの時期を迎えている。
知られざるアルゼンチンアリの生態
──外来アリの最大の特徴は、驚異的な繁殖力にあります。
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