「心理化」した職場の問題解決に不可欠な考え方 自前の理論よりも心理学的知見が効果的な理由
ウェルビーイング、目標設定、自己肯定感、信頼、自律学習、レジリエンス、道徳的判断、集団パフォーマンス、心理的安全性……。昨今、ビジネス界で話題になっているキーワードの多くは心理学が関連しています。
本稿では、世界の120以上の心理学の研究論文のエッセンスを凝縮した『世界の学術研究から読み解く職場に活かす心理学』の著者である今城志保氏に、心理学を用いた職場の問題解決の方法について論じてもらいました。
「心理化」とは何か?
最近あるシンポジウムで、「心理化」という言葉を聞きました。
政治に対する人々の態度をテーマとした研究会でしたが、人々の価値観が多様化する中で、何か外的な基準ではなく、個々人の心の中に態度形成や判断の基準が存在することを、発言された先生はおっしゃっていたのでしょう。
「心理化」という言葉は、認知社会学の分野でも使われ、類似したもので「心理学化」という言葉もあるようですが、ここでは、「さまざまな社会的活動において、客観的あるいは外的な基準ではなく、個人が価値観などの心理的な基準に従って判断・行動するようになること」と便宜的に定義します。
心理学者であるダニエル・カーネマンが人の判断のバイアスに関する研究を発表し、2002年にノーベル経済学賞をもらって以来、経済学における人の心理や行動への注目度は高まるようになりました。
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