「心理化」した職場の問題解決に不可欠な考え方 自前の理論よりも心理学的知見が効果的な理由

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これらの研究については、再現性が確認されない、などとの批判もありますが、少なくとも注目を浴びた理由の1つに、経済活動の心理化が背景にあるのではないかと感じています。

経済合理的な基準に従うことが強く求められる状況でなければ、人は自分の基準で消費行動をとるようになります。経済的に見れば、「今こそ家を購入すべきだ」というタイミングが来たとしても、それ以外の理由で家を購入しない人も多いでしょう。

ひょっとすると、そういう人は増えているかもしれません。景気が上向いて、手元のお金に余裕が出てきても、それを実感したり、その結果、以前よりモノやサービスを買おうとしたりする人は、増えているのでしょうか。

一方で、「推し活」のように、一般の価値や値段に関係なく、その人にとって価値があることに、人は多くのお金を使います。

職場の問題解決には心理学が不可欠に

同様のことは、私が研究の対象とする職場で働く人にも見られます。「仕事や働き方に何を望むのか」や、「どのように行動することが仕事での成功につながるか」などの基準が、一世代前と比べるとはっきりしなくなりました。

加えて、人材の多様化に伴って、異なる考え方や価値観を持つ人たちと仕事をする機会は増えています。また、テクノロジーの進展や、教育のあり方の変化など、環境の大きな変化が世代間のギャップを増大させていると考えられます。

これらは、職場における心理的な問題につながっています。

ここまでの説明では、心理化とは多様化を指しているように感じられます。しかし、これらは別のものです。多くの心理化は多様化を伴いますが、必ずしもそうでない場合があります。

たとえば若者の車離れが、多くの若者に共通して見られる、ある種の価値観に根差すものであるならば、それは心理化からくる現象ではありますが、多様化ではないでしょう。

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