各国も警戒、日本の「中国人留学生スパイ」の実態 悪意なき学生を利用するアメとムチの手口
「中国当局が中国人留学生に対し、技術情報窃取のターゲットを物色させている」
米連邦捜査局(FBI)がこのような懸念を報告書で公表したのは、2019年のことだった。
そして今年、ドイツにおいても、「中国の国費でドイツに留学する学生が、留学先の大学や研究機関でスパイ行為を働く危険がある」と教育相が懸念を表明、大学に警戒を促した。
各国に広がる中国への警戒感。ひるがえって日本はどうなのか。中国人留学生を利用したスパイ活動の実態について、官・民で諜報事案を捜査/調査した筆者が解説する。
中国人留学生のスパイ活動とは
中国の大使館・領事館は、中国人留学生に指示し、スパイ活動をさせたり、反体制活動の妨害を行っていると指摘されている。
中国大使館には、それぞれの国に存在する中国人留学生団体の幹部をスパイ工作に就かせる専門の担当者がおり、その優秀な幹部たちは中国政府の意向に従順で中国大使館などの命令を忠実に遂行するのだ。
過去の例で言えば、2008年の北京五輪で聖火リレーが日本を通過する際、在日中国人留学生組織「中国人留学生学友会」のメンバーを中心とする中国人留学生が全国から3000人以上動員された。これは中国大使館の命令であったと言われている。
中国大使館は、学生に対し「今回の声援活動は民間が自発的に行ったものであり、大使館といかなる関係もないと理解すべきだ」との内部通達まで出していたとの情報がある。
筆者の知人である中国人留学生学友会の元幹部によれば、中国人留学生学友会の一部は中国大使館に直轄管理されており、その命に逆らうことは考えられなかったという。
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