各国も警戒、日本の「中国人留学生スパイ」の実態 悪意なき学生を利用するアメとムチの手口

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元幹部は中国共産党系の会議にも欠かさず参加していた。中国大使館のレセプションに参加した際は、そこで“命”を受けることもあったという。

この”命”とは、様々な情報の収集だ。中国人留学生が所属する団体や研究室が持つ組織図や研究情報、団体や研究室のメンバーのメールアドレスからや住所、それぞれの留学生が交流する有益な人物に関する情報などが求められる。

さらに、中国反体制派の活動に中国人留学生を潜り込ませ、使用した資料や出席者に関する情報を収集させる。中国人留学生のコミュニティーを通じて、反体制分子の割り出しをさせるほか、企業でインターンをする留学生に、様々な企業情報を収集させ持ち帰らせることもある。

まさに「千粒の砂」戦略である。

情報収集だけではない活動とは

情報収集だけではない。プロバガンダにも中国人留学生を使う。

例えば、中国人留学生による同窓会組織は、「真実の中国を日本に伝える」活動に尽力する。中国のエンタメやチャイナドレスなどの文化を日本人学生に伝え、中国に対する”誤解“を解くことに注力する。だが、そうした場で新疆ウイグル自治区の状況など中国にとって都合の悪い現実には触れない。この手法は後述する孔子学院と同様だ。

また、共産主義模範作品の朗読会を企画するなどして、中国人留学生の愛国心を高める活動も展開している。

元幹部によれば、中国の大使館・領事館は、留学生や留学生団体を操るのに、各種の活動資金(学費も含む)を支援する。留学生が帰国し就職する際の推薦状を作成するなど就職の便宜も図るという。

推薦状における評価は、中国大使館・領事館が下した“命への答え”や祖国愛の程度に基づく。そのとき、“命”にどれだけ従順に従ったかは重要な評価基準となる。

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