海外の専門家が指摘「ジャニーズ騒動」本当の問題 「日本の文化の問題」として片付けていいのか
もっとも「一般的にはファンは事務所より、アーティストに愛着を持っている。フランスであれば、タレントが一斉にジャニーズを去るだろう」と、コミュニケーション・コンサルティング会社ヴァス・ソリスの創業者、アルノー・デュプイ=カストルは語る。ただ日本では、アーティスト、メディア、スポンサー企業がジャニーズとアンバランスな関係にあるため、アーティストがジャニーズを離れるのが難しいのかもしれない。
ジャニーズのスキャンダルと海外の事例を最も適切に比較できるのは、カトリック教会内のセックススキャンダルだろう。どちらのケースも、大人たちが権威ある組織の中で権力を行使し、少年たちに対して性加害を行った。どちらのケースでも、真実が明らかになるまでには何年も、時には数十年もかかった。
宗教スキャンダルとの「共通点」
「ジャニー喜多川問題はバルバラン事件を彷彿とさせる」と、宗教スキャンダルに巻き込まれたクライアントに助言してきたアルノー・デュプイ=カストルは話す。フィリップ・バルバランはフランスの司教で、1991年まで自分の権威下にあった司祭による小児性愛犯罪を当局に伝えなかったとして告発された。
バルバランは、最後の事例から11年後の2002年にその司祭の上司になったばかりで、司祭の性犯罪について知っていたにもかかわらず、同氏の不作為、つまり、「未成年者に対する性的攻撃を告発しなかったこと」により法廷に送られた。
同氏はフランス刑法434条の4に違反した罪に問われた。「15歳未満の未成年者、または年齢、病気、虚弱、身体的もしくは精神的欠陥、または妊娠のために自分を守ることができない者に対してなされた剥奪、虐待、性的虐待を知る者は、司法当局または行政当局に通報しなかった場合、罪に問われる」というものだ。
最終的には、バルバランが知った当時、被害者たちは既に成人しており、自ら裁判を起こすことが可能であったことから、バルバラン自体は無罪となった。被害者たちは広く報道された裁判の中で証言し、小児性愛者の神父は5年の実刑判決を受けた。
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