海外の専門家が指摘「ジャニーズ騒動」本当の問題 「日本の文化の問題」として片付けていいのか

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また、ファンのみならず、メディアも警察も、利害関係のある行政も、ジャニーズのタレントを支持する企業も、いわば日本社会全体が、見て見ぬ振りをし続けた。今年3月にBBCの1時間のドキュメンタリー番組が世界的な反響を呼び、国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の声明が出されるまでは。

本来ならすぐに事実を認めるべきだった

フランスに本社がある総合広告代理店、ハヴァスの副社長であり、グローバル危機のトップ・エキスパートであるステファン・フークスはこう説明する。

「企業がこのようなスキャンダルに見舞われた場合、まずすべきことは事実を認め、被害者の側に立つことだ。そうでなければ、スキャンダルはテレビドラマのようになり、発覚するたびに新しいエピソードが生まれることになる」

ところが、ジャニーズの藤島は5月に公式コメントを発表した際、叔父に対する小児性愛の告発は叔父が亡くなっているため立証できないと主張するようなビデオを配信して責任逃れをした。その後、さらに4カ月を要し、社内調査を経て、当初から知っていたことを事実上認めた。

「会社はスキャンダルで最も責任の重い幹部を辞めさせるべきだ」とフークスは言う。今回、藤島は社長を辞したが、現在でもジャニーズの全株式を握っており、代表取締役であり続けている。藤島は後任社長に東山紀之を任命したが、彼もまた自身に向けられた疑惑をごまかすことを選んだ。

今回の件で海外の専門家が驚くのは、誰も「責任をとっていない」ということだ。欧米諸国であれば、ジャニーズはメディアから大きな圧力を受け、閉鎖か大規模な改革を迫られるだろう。

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