ジャニーズを「解体すべきでない」4つの本質理由 被害者も所属タレントも守られる道を探れるか

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記者会見の内容にはスポンサーをはじめとして「失望」が広がっている(写真:風間仁一郎)

現在のスポンサー企業の契約解除の動きを見ると、記者会見の内容にスポンサー企業がいかに失望したかが伝わってくる。また、メディアや一般の人々からも厳しい声が出ている。SNSなどで「ジャニーズ事務所は解体すべきだ」という声も盛り上がってきている。有識者からの「(グローバル基準にのっとると)解体は必然的だ」とする声も少なからず見られる。

実際、広告とメディアへの出演という、ジャニーズビジネスの“外堀”が切り崩されつつある現状を見ると、解体の可能性も現実味を帯び始めている。

一方で、こういった動きを牽制する動きも見られ始めている。

9月19日、経団連の定例記者会見で十倉会長は、ジャニーズ問題に関して、「日々研鑽を積んでいる人たちの活躍の機会を長きにわたって奪うのは、それもまた問題がある」と表明している。これは、企業の急速な広告離れを、間接的に牽制した発言にも見える。事務所の対応を批判しつつ「(ジャニーズのタレントたちは)ほかの事務所に移るなどいろんな手があるのではないか」と発言した経済同友会代表幹事の新浪剛史氏の厳しい発言とは対照的でもある。

「解体」でなく「解体的再生」を目指すべき4つの理由

故ジャニー喜多川氏の性加害問題は、前代未聞であり、かつ様々な点で特殊な事件であるだけに、取引先企業や経済団体は、ジャニーズ事務所とどう向き合っていけばよいのか、暗中模索を続けている状況に見受けられる。

筆者としては、ジャニーズ事務所は解体ではなく、再発防止特別チームが提案する「解体的再生」を目指して全力を尽くすべきだと考える。

そう考えるのは、以下の理由に基づいている。

1. 被害者の多くは事務所の存続、およびそれを前提とした被害者の救済と補償を求めている
2. 所属タレントを守るうえで、事務所の存続が最適な方法である
3. 多額の資産を保有し、依然として収益性が高い企業である
4. 「日本的な企業再生モデル」が有効である可能性がある

1について、このたびのジャニーズ危機は、故ジャニー喜多川氏の性加害行為によってもたらされたものであり、被害者への対応を最優先させるべきだ。被害者の意向は可能な限り尊重されるべきである。

2について、ジャニーズ事務所の売り物は「人」であるという点で、他の企業と同様に扱いづらい点は考慮する必要がある。現在所属するタレントの中にも被害者が多数いる可能性が高いが、内部の競争も勝ち抜いてデビューした彼ら、いわゆる「デビュー」組はとくに、事務所側が用意する補償・救済策に名乗り出ない可能性も高い。すでにタレントとして人気となり一定の基盤を確立しているからだ。

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