ジャニーズを「解体すべきでない」4つの本質理由 被害者も所属タレントも守られる道を探れるか
一方で、現在200名程度が在籍しているジャニーズJr.の存在をどうするのか? という問題がある。すでに活躍しているタレントであれば、移籍したり独立したりしても活動はできるかもしれない。一方で、ジャニーズJr.の多くは、引き取ってくれる事務所も限られるだろうし、事務所がなくなれば活動の道が閉ざされかねない。
3について、業績が悪化した企業は、解体して再生するほうが有効であることも多いが、ジャニーズ事務所は依然として収益性の高い企業であり、資産も潤沢にある。継続的に企業活動を行うほうが、被害者の補償・救済に充てる原資も確保しやすいし、社会貢献も行いやすくなる。
4についてだが、被害者もジャニーズ事務所に対して必ずしも敵対的ではないし、依然としてジャニーズに対して愛着を持っている所属タレント、ファンも多い。
欧米型の善悪二元論の考え方では、善悪をきっちり区別して、善が悪を打ち倒す考え方が好まれる。ハリウッドのヒーロー映画はそうしたものが多いが、日本では『ドラゴンボール』や『ワンピース』のように、昨日の敵が今日の味方になるような物語が好まれる。勝ち取った敵の駒を味方として使えないチェスと、使える将棋の違いをイメージしてもらってもよいかもしれない。
もちろん、海外の声も重要であるし、グローバル基準に従うことは重要だ。しかし、全て海外を基準にする必要もない。幸か不幸か、ジャニーズは海外進出は限定的で、ほぼドメスティックな日本企業である。日本独自の起業再生モデルに取り組んでみる価値は十分にある。
それを実現するためには、被害者、所属タレント、ジャニーズ事務所がひたすら叩かれているような現状から脱する必要はあるが――。
10月2日に示すべき4つの「抜本改革」
筆者はジャニーズの「再生」に期待したいと思っているが、そこに至る道は厳しいということも重々に理解している。
当初は、9月7日の記者会見で、ある程度の方向性が示されると思っていたが、残念ながら意思表明にとどまり、具体的な方向性は示されなかった。手遅れにならないためには、10月2日の新たな経営体制の発表で、抜本的な改革案を示す必要がある。
具体的には、下記の4点が明確にされる必要がある。
1の名称変更だが、いまや所属タレントやファンの間でも、ジャニーズという名前を残すことは疑問視される向きもある。記者会見でも指摘されていたが、性加害を行った人物の名前を企業名に冠することは、そもそも不適切極まりないことだ。たとえ新しい名前が決められなかったとしても、社名を変更することは早急に表明すべきだ。
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