生成AIも結局は大手テック企業が支配するのか オープンAI×MS連合vs.グーグル、そして……
Copilot(副操縦士)とは、「仕事の副操縦士となる」という意味を込めたネーミングである。操縦士であるユーザーを、大規模言語モデルを活用したAIで強力に支援することで、単調で手間のかかる作業はAIに任せ、ユーザーの生産性の向上に寄与することを目論む。
たとえば、「Copilot in Word」では、ユーザーとAIの共同作業で文章の作成、編集、要約、創作が可能であり、簡単な指示だけでAIが必要に応じて組織内の情報を盛り込みながら、ユーザーに代わって下書きを作成してくれる。
マイクロソフトはさらに2023年5月に開催した年次イベントで、OS「Windows 11」にAIチャット機能を組み込んだ「Windows Copilot for Windows 11」も発表している。2023年11月提供予定となっており、法人向けにデータ保護機能を強化した「Bing Chat Enterprise」も、このWindows Copilotで提供される予定だ。
非常事態を宣言したグーグル
ChatGPTやBingAIなどの大規模言語モデルを活用したチャットボットの登場で、大手テック企業の中で最も影響を受けるのはグーグルであろう。
2022年12月21日付のアメリカのニューヨーク・タイムズは、グーグルの経営陣はChatGPTやBingAIが同社の検索事業に深刻な脅威をもたらす恐れがあるとして、社内でコード・レッド(非常事態)を宣言したと報じた。
よく知られているように、グーグルの収益の源泉は検索エンジンの検索結果に連動して表示される検索連動型広告である。グーグルの検索エンジンでは検索結果をリスト表示し、その検索結果に関連する広告リンクがあわせて表示される。検索結果がユーザーの求めるものでなければ、次の検索結果をクリックし、その間、ユーザーは興味を惹いた広告をクリックするという行動を繰り返す。
一方、ChatGPTやBingAIではユーザーの入力した問いに対する回答を直接返してくれる。回答精度が上がれば上がるほど、ユーザーはChatGPTやBingAIを使うようになり、グーグルの検索エンジンを使う必要性が薄れる。そうなると、広告の出稿数が減少し、グーグルは大打撃を受けることになる。
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