2浪東大落ちの彼が「24歳で高校の副校長」の裏側 1点差で東大に不合格、なぜ副校長になったのか

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そして大学4年生になる直前に、取引先の社長から驚きの提案を受けます。それが、広島桜が丘高等学校に「教育アドバイザー」という形で参加してほしいという話でした。

浪人
現在の桐原さん(写真:桐原さん提供)

「まさに自分が望んでいた環境だったのですぐに『やります!』と返事しました。4月から定期的に学校に通い、9月からは週3回学校に行って、先生方へのヒアリング・学校現場の勉強・行事の見学・直接生徒と話す、といった関わり方をさせていただきました。現場を見る過程で気づいた課題から改革の骨子を固めて、学校の宣伝や変革の方法を理事長先生にプレゼンしたところ、許可をいただきました。

そうしたら、定員240人で今まで210人しか応募がなかった学校が、今年は320人くらい応募があったんです。その成果もあって『今年から本格的に副校長として学校に入ってほしい』と理事長先生から言っていただきました。大学卒業後のファーストキャリアとして、24歳のときに、私立高校の副校長を選択することにしました

後悔しない選択をしてほしい

現在、「25歳の副校長」としてメディアにも出演している桐原さん。最後に彼は、今後の展望を語ってくれました。

「オリンピックのメダリストは100万人に1人の確率なんです。だから、私もそのレベルになりたいと思って、人生の選択を決めたんです。最終的に、40代で100万分の1の存在になろうと決めました。

それも浪人を決断して、強制的にレールを外れることができたからこそ、決断がしやすくなったのだと思います。だから、私は学生と関わるとき、『後悔しない選択をしてほしい』と言っています。もし本当に行きたい学校があるなら成績が足りてなくても受験したほうがいいと思うし、挑戦することから得られることはあると、いつも伝えています」

「やりたいと思って熱意・努力を持てば夢に近づけるんだなと思いました」と語る桐原さん。きっとこれからも、知性と熱意で、教育から世の中を変えていくのだろうと思いました。

濱井 正吾 教育系ライター

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はまい しょうご / Shogo Hamai

兵庫県出身、1990年11月11日生まれ。「9浪はまい」のニックネームでTwitterやYoutube、テレビ出演などを行っている。大阪産業大学経済学部経済学科に入学後、龍谷大学経済学部現代経済学科に編入学し、卒業。 高校時代にいじめを受けたことから、いじめっ子を社会的に偉くなって見返したいと思い、在学中から仮面浪人として受験勉強を4年間続ける。大学卒業後、証券会社に契約社員として就職したが10日で自主退職、同月中に配置薬会社に再就職。昼は会社、夜は予備校という生活に。同社退職後は受験勉強に専念し、9浪で早稲田大学に一般受験で合格し、2018年に教育学部国語国文学科入学、2022年卒業。現在はカルペ・ディエム所属。

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