ラーメン・背脂多め「記載なき有料提供」での盲点 背脂の歴史的高騰で、無償提供は厳しい現実も

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これらは、あくまでもお店側のサービスである。だからこそ、提供されるサービスにはお店ごとの違い、有無があっていいはずだが、ラーメン業界の現状を見る限り、いつの間にか「サービスがあって当たり前」の状況ができてしまったのだ。

しかし、ここ最近は、背脂をはじめ食材の価格高騰のあおりを受けて、無料サービス、無料トッピングをやめ、有料に切り替えているお店もある。今回の背脂追加100円のお店もその一例だろう。筆者の取材に対し、「でぶちゃん」の甲斐店主は語る。

「日本には『リスクはゼロであるべき』『リスクが少しでもあるならば見直すべき』というゼロリスク信仰がありますが、ラーメン店においてはそれを行うのが正しいとは思いません。

お店に来ていただける大多数のお客さんに喜んでいただくことが大切で、一部のクレームに対して都度対策を講じる必要はないと思います。

今回の件についても、背脂を追加するお客さんがたくさんいるならばメニューに記載すべきだったかもしれませんが、ごく一部のお客さんに限られるならば記載の必要はないでしょう」(甲斐さん)

人気ラーメン店「渡なべ」の店主・渡辺樹庵さん、「なるめん」の店主・道理大樹さんはYouTube「渡辺樹庵のここだけの話」の中で、卓上調味料は今後なくなるかもと危惧する。

「最近サイゼリヤが無料の粉チーズを廃止したというニュースがありました。詳しい理由はわかりませんが、間違いなくコストの問題だと思います。この波はこれからも続いていくと考えられ、すでにもう卓上調味料は置きたくないというラーメン店は多いと思います」(道理さん)

本来ならば有料であるサービスやトッピング

今回の件は、背脂追加がもし有料ならば、お店側が先に伝えておくべきだったかもしれない。

だが、それとは別問題として、無料サービスや無料トッピングが今後続けられるかは、コストの面で厳しくなってきている現実がある。この取材を通して、ラーメンライターとして活動する筆者自身も、無料サービスやカスタマイズができることが当たり前ではないのだと襟を正した。

何事にも、コストや原価はかかる。本来ならば有料であって然るべきサービスを、店側が無料で提供してくれていることも少なくないことを、改めて認識したいものだ。

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井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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