スマホ1つでつながる時代、地方大逆転のチャンス 日本が「便利すぎるコンビニ」を乗り越える方法

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成嶋:確かに、コンビニがユーザーとメーカーの間に入り、売れ行きを予測して「あなたの食べたいものはこれでしょうか?」と“翻訳”してくれる。結果、ほしいものが身近な場所でいつでも買える、というバリュージャーニーが実現しているわけですね。

尾原:でも、いまやみなスマホを持っている。「IoT×AI」で各メーカーがユーザーと直接つながれるから、実はコンビニが“翻訳”しなくても、ユーザーの心理やニーズを反映したバリュージャーニーが実現可能になっているんですよね。

成嶋:中国は既にそのフェーズに入ってきているし、実は東南アジアでも中国のように中小店舗が分散型SaaSで進化していっています。その進化が、尾原さんのおっしゃるように、日本はコンビニが便利すぎるがゆえに見えていないのかもしれませんね。

地方の課題解決のヒントは、中国にある

尾原:逆説的な見方をすると、日本において中国のような進化のレバレッジがいちばん効くところは、インフラが充実している都市部よりも、インフラが少ない「地方」ではないかと思うんです。

成嶋:そうですね。地方では人口がどんどん減少し、都市と同等の社会インフラを維持することが難しくなっています。その一方で、人生経験の豊富な熟年の方がたくさんいる。こういった地方都市のほうが、高額なコストをかけなくても社会課題を解決し、快適な生活を実現できるチャンスがあると思います。

尾原:政府の「経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太の方針)」でも、中小企業の賃上げのための各サプライチェーンにおける付加価値の増大・マークアップ率の向上や、デジタル田園都市構想にもとづく東京一極集中の是正と分散型の国づくりを政策課題として掲げています。それらの課題を解決するヒントは、実は中国にいっぱいある、ということですよね。

成嶋:こういう話をすると「中国は政治事情が独特な国だから……」といったエクスキューズが付き物ですが、『GAFAも学ぶ!最先端のテック企業はいま何をしているのか』で紹介した事例の中に、その「独特な政治事情」が絡むものは、実はほとんどありません。だとしたら、先入観を持たずに中国テック企業の動向を見て、彼らが進めているデジタル革命の「今」を学ぶことをお勧めします。

(構成:堀尾大悟)

成嶋 祐介 一般社団法人深圳市越境EC協会日本支部代表理事

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なるしま ゆうすけ

一般社団法人深圳市越境EC協会日本支部代表理事。世界の最先端企業1800社とのネットワークを持つ中国テックビジネスのスペシャリスト。中央大学、茨城大学講師などを歴任。

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。株式会社成島代表取締役。2019年から深圳市越境EC協会日本支部の代表理事を務める。

全世界の中小企業を繋げることを目指し、情報テクノロジー、通販分野にて日本と中国の橋渡しを行い、世界規模のグローバルECの開発に向け活動をしている。

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尾原 和啓 ITエバンジェリスト

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おばら かずひろ / Kazuhiro Obara

1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート、ケイ・ラボラトリー(現:KLab、取締役)、コーポレートディレクション、サイバード、電子金券開発、リクルート(2回目)、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業に従事。経済産業省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザーなどを歴任。著書に『モチベーション革命』『アフターデジタル』(共著)、『ザ・プラットフォーム』『どこでも誰とでも働ける』『IT ビジネスの原理』などがある。

 

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