スマホ1つでつながる時代、地方大逆転のチャンス 日本が「便利すぎるコンビニ」を乗り越える方法

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尾原和啓(おばら かずひろ)/1970年生まれ。京都大学大学院工学研究科応用人工知能論講座修了。マッキンゼー・アンド・カンパニーにてキャリアをスタートし、NTTドコモのiモード事業立ち上げ支援、リクルート(2回)、ケイ・ラボラトリー(現:KLab、取締役)、コーポレイトディレクション、サイバード、電子金券開発、オプト、Google、楽天(執行役員)の事業企画、投資、新規事業に従事。 経済産業省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。 現職は14職目。シンガポール、バリ島をベースに人・事業を紡ぐカタリストでもある。ボランティアで「TEDカンファレンス」の日本オーディション、「Burning Japan」に参加するなど、西海岸文化事情にも詳しい。 著書に『プロセスエコノミー』『モチベーション革命』(幻冬舎) 、『どこでも誰とでも働ける』(ダイヤモンド社)など(撮影:干川修)

サイケイ(再恵)

飲食店をはじめとするオフライン店舗を対象に、ブランド管理、マーケティング支援、調達管理などのデジタルサービスを包括的に提供する、「街の飲食店」のDXを支援するプラットフォーム。各店舗から上がってくる決済データをもとに、各店舗における注文量、使用した材料、混雑のタイミングなどのデータをリアルタイムで積み上げ、解析することで、加盟する飲食店全体のサプライチェーンをシステム化する。広告、求人、テイクアウト宅配などのチャネルを統合する機能もある。いわばアマゾンのようなECプラットフォームの飲食店版。

成嶋:サイケイでは農家などのサプライヤーとも直接連携し、常に材料の消費データが同期されています。そのデータをもとに、サイケイに加盟する飲食店同士で共同調達できる仕組みもあり、仕入れを一本化することでタイムリー、かつ安価に材料を調達することができます。

尾原:街の小さな店舗でも、今日では従業員がスマホやタブレットで常にオンラインと接続できる環境にあるから、サイケイのようなサービスを気軽に導入できる。そして、サイケイを起点にあらゆる業務のDX化が行われ、さらに異なる店舗同士がつながり、最適化されていく。BtoB領域における「リアルのAPI化」ともいえる現象が起こっていますね。

「個としての最適化」から「群としての最適化」へ

成嶋:まさにおっしゃるとおり、「リアルのAPI化」ですね。各店舗の情報がAPIを通じてデジタル化されることで、サイケイに集約されるデータがどんどんビッグデータ化し、加盟店舗間でシェアすることができます。それによってますますサービス品質が向上し、顧客体験の向上ももたらされる、という好循環のループが形成されています。

尾原:そのように、小さな個々の店舗の業務DX化がスマホやタブレットを通じて勝手に進んでいくことで、「街の飲食店」でさえインテリジェント化する。その「個としての最適化」がつながり、複数の店舗で勝手に最適化し合う、つまり「群としての最適化」が起こる、という流れですね。

次ページ「群としての最適化」は業態を超えて広がっていく
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