だから孫正義はインド人COOを後継指名した

前参謀がトップ人事の真相を読む

2010年、後継者育成のためにつくった「ソフトバンク・アカデミア」で、孫社長は後継者の条件をこう規定した。

「10年で時価総額を5倍にすること」

そのころ、ソフトバンクの時価総額は3兆円だった。5倍の15兆円というと、当時の日本一だったトヨタの約13兆円を越えばならなかった。しかしその後、ソフトバンクの時価総額は約9兆円となり、5倍は45兆円になった。45兆円というと世界第3位のグーグルが44兆円であり、ターゲットはすでに進化した、と私は「孫正義社長の意中の後継者は誰なのか」で書いた。

ニケシュはまさに、グーグルで時価総額44兆円企業の経営を経験してきた人物である。残念ながらこの規模の実質的な経営責任者をつとめた日本人はいない。

人は「これから頑張るから将来を見て欲しい」という。だが、冷静に考えればその人を評価するのは今までの歩み、これまでの経験を見るほかないのが現実というものである。

私自身もそうだった。私が携帯通信事業に参入したソフトバンクの社長室長となり、孫社長と共に日本一のNTTと戦えたのは、国会議員として日本全体の情報通信政策に取り組んだ経験があったからだ。それがなければ、孫社長が私を参謀に選ばなかったはずだ。

時価総額を大きくすることへのこだわり

孫社長は私に「ITバブルのとき、ビル・ゲイツを抜いて世界一になったことがある。3日だけでしたけど(笑)。でも一度なったことがあると、またなれる気がするんですよ」と語ったことがある。時価総額44兆円企業を経営した経験を持つニケシュからすれば、「10年で時価総額45兆円」という大風呂敷の目標も、実現可能な目標として捉えられるはずである。

ソフトバンクの2015年3月期決算は、売上高が前年より3割増の8兆6702億円だった。注目していただきたいのは13~14年に買収した米携帯大手スプリント、米携帯卸売りブライトスターなどが貢献し、海外売り上げが国内を上回ったことである。

孫社長は言う。「今までは日本のソフトバンクが海外の会社に投資を行う立場でしたが、これからは第2のソフトバンクとして、世界のソフトバンクが日本に事業展開しているといった立場になりたい」。したがって、”ソフトバンク2.0“は、世界から人材を集めなくてはならない。

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