アダルトビデオ界の大物は、どんな男なのか

異色経営者DMMグループ亀山敬司伝<1>

執務室から東京の街を見下ろす亀山氏(撮影:梅谷秀司)

 

<2>アダルトビデオで儲かるのは「販売」ではない

<3>アダルトビデオ界の大物が切り拓く"新境地"

飄々(ひょうひょう)としてまるで飾るところがない。セーターにデニム、それにスニーカーといったいでたち。腕時計もしない。代わりに入館カードか何かが入ったプラスチックケースだけは律儀にも首からぶら下げている。長いことアダルドビデオ(AV)業界の「フィクサー」や「黒幕」と呼ばれてきた男にギラギラしたところやアクの強さはかけらもない。むしろ脱力系と言った方がいい。

謎の経営者とささやかれた男

「エロやってればたたかれる。目立たないようにせざるをえなかった。今は発信していかないと、社員が色眼鏡で見られてかわいそうだから。やってることを隠すつもりもないしね」

DMM.comグループを率いる会長の亀山敬司はかつてマスコミどころか社外の付き合いもほとんどなく、飲みに行くのも年に2、3回だけ。謎の経営者と言われた。極端な話、「本当にいるのか?」とささやかれたほどだ。

「エスワン」や「ムーディーズ」といった有力レーベルを育て、流通システム「アウトビジョン」に他メーカーを次々引き入れる亀山の経営手腕は、AV業界の川上から川下まで制する一大帝国を築き上げた。2001年に稼働した今の加賀事業所(石川県加賀市)には音声認識システムを導入したピッキングエリアに2万タイトルが並び、見上げるほどの自動倉庫には650万本の在庫が備わっている。

近年、グループはAVで蓄積した利益を投じ、インターネットによる動画配信や各種通販に手を広げ、FX(外国為替証拠金取引)では口座数が業界1位を獲得した。サーバー増設が追い付かないほど人気の『艦隊これくしょん』をはじめとするオンラインゲームや、格安料金が売りのオンライン英会話、それにモノづくり革命を起こすともいわれる3Dプリントなど、事業領域はなおも拡大の一途だ。グループ従業員は1000人を突破。一昨年、主要各社の純利益は合計で100億円を超えたとみられる。

それにつれ、亀山は4~5年前から少しずつ交友関係を広げ、最近では連載マンガに実名で登場するようにもなった。そして今回、自らの半生を余すところなく語った。一体全体どんな男なのか――。

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