だから孫正義はインド人COOを後継指名した

前参謀がトップ人事の真相を読む

ソフトバンクの孫正義社長(左)は、ニケシュ・アローラ氏を後継指名した(写真:ロイター/アフロ)

「実質的な後継者指名か、というお話ですけれども、答えはイエスです」

5月11日に開催されたソフトバンク2015年3月期決算発表。6月の株主総会で代表取締役副社長に就任予定のニケシュ・アローラについて聞かれた孫正義社長は明快に答えた。

ニケシュは47歳、インド出身。世界最大のインターネット企業であるGoogleでナンバー2として実質的に経営を取り仕切っていた人物とはいえ、ソフトバンクに参加したのは2014年7月。まだ1年も経っていない。

逆算方式で考え抜かれた結果

参謀が語るソフトバンク怒濤の8年間の「正史」

孫社長の指名は、一部では驚きをもって迎えられている。しかし、この指名は、孫正義社長の「30年後、時価総額200兆円、世界トップ10の会社になる」という目標を達成するために、逆算方式で考えぬかれた結果である。

パックス・ロマーナを築き上げたカエサルが、遺書で自らの後継者として18歳のオクタビアヌスを指名したと知ったとき、多くの人が驚きをもって迎えた。自分を後継者と思い込んでいたアントニウスは「なぜ」と言って絶句したと伝えられている。

オクタビアヌスは、非凡な能力でカエサルの夢(パックス・ロマーナ)を実現し、18歳の少年に指導者の資質を見出したカエサルの眼力を証明した。今年1月に出版した『孫正義の参謀 ソフトバンク社長室長の3000日」(東洋経済新報社・刊)で私は、「ローマ帝国のように世界に拡大していくソフトバンクにも課題がある。孫社長の後継者問題だ」と書いた。ソフトバンクのオクタビアヌスは、ニケシュである、と孫社長は宣言したのだ。

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