「奨学金870万円」35歳女性の綱渡りな海外進学 「父の通帳は残高ゼロ」貧乏な家の娘が夢見た結果

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海外での学生生活というと、どうしても「毎日パーティ」のようなイメージを抱いてしまうが、勉強中心でフルで在学していると、そんな華やかさはないようだ。そして、イギリスも大学に通うためには金がかかった。

「自国とEU圏内の学生は学費が安いのですが、EU圏外からの留学生は相当高くつきます。1年間で学費が寮費込みで600万円もかかるので、また日本公庫から400万円を借りました。それだけでは足りませんが、とある日本の財団から、環境問題を専攻する大学院生に向けた無利子の貸与型奨学金を毎月10万円支給してもらえたため、それを寮費や食費に充てました。さらに、アメリカの大学を卒業する際に大学院に進むメンバーに対する、給付型奨学金も100万円ほど受けられたんです。

当時はすでに大学時代に日本公庫で借りた教育ローンの返済は始まっていましたが、それは両親に肩代わりしてもらっていました。330万円を10年ローンで借りていたので毎月、4万円ですね。おかげで学費と寮費はなんとかなりましたが、生活はカツカツなので、テスコという安いスーパーでプライベートブランドのパスタを買って、毎日ペペロンチーノを食べていました」

計870万円もの奨学金・学生ローンを借り、就職へ

長い学生生活の中で、870万円もの奨学金・学生ローンを借りた川嶋さん。大学院を修了した後は、日本で大手経営コンサル会社に就職することになった。

「本当はイギリスで就職したかったのですが、勉強が忙しく修士論文が終わるまで就活が一切できなかったのは想定外でした。修論提出後に寮を出て自費で就活しようにも家賃が週に5万円もするので、泣く泣く日本に帰ってきました。それに、学生ローンの返済もありますしね。また、国連に入るにも、実務経験がないと試験すら受けられそうになかったので、一度は日本で就活をしようと思い、通年採用で応募できる会社を受けました」

初任給は額面で29万円あったが、日本公庫への返済は毎月6万円。家賃と光熱費で毎月10万円程度はかかるため、いくら大手経営コンサルティング企業勤めとはいえ、社会人2年目までは同期たちと同じように、余裕のある生活や貯金はできなかった。だが、順調にキャリアを積み重ねていき、550万円だった年収は最終的に850万円の大台になった。

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