「奨学金870万円」35歳女性の綱渡りな海外進学 「父の通帳は残高ゼロ」貧乏な家の娘が夢見た結果

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そんなコンサルティング企業に6年間在籍した後、スカウトをきっかけに大手ソフトウェア企業に転職。年収は950万円+自己株で1000万円を超えたため、そこからは奨学金の返済も楽になったという。

そして、結婚後、育児休暇に入るが、子どもが1歳になったときに大手ソフトウェア企業を退職。現在は海外のとある慈善団体で有期雇用の派遣社員として、政策提言を行っている。

「大学時代の先輩が先に勤めていて、彼女がケンブリッジの大学院に進学するという理由で辞める際に、後任にわたしを推薦してくれたんです。今の団体は日本の大学出身でも入ることはできると思いますが、同僚は海外の大学院卒も多く、留学経験なしでは正直難しかったでしょう。科学技術の分野で政策提言ができる今の仕事内容は、子どもの頃から夢見ていた社会貢献にもつながるため、大変誇りに思いながら働いています」

そんな川嶋さんは今年に入って、ようやく日本公庫の教育ローンの返済が終わったため、今は大学院生時代に借りていた月々10万円の奨学金を毎月、7000円ずつ返している。利子がないので家計の負担にはなっていないが、前倒しでの返済も視野に入れている。なお、先程「有期雇用の派遣社員」と書いたが、いわゆるジョブ型雇用で、現在の年収は1000万円を超えているそうだ。

アメリカでは貸与型奨学金は『ローン』

当然ながら彼女は「今の自分があるのは、大学・大学院での留学があったから」と考える。また、日本とは異なる海外の奨学金制度も目の当たりにしたため、それぞれの良し悪しも理解できた。

「アメリカだと貸与型奨学金は、普通に『ローン』と呼ばれています。だから、今となっては日本の『奨学金は返すもの』という感覚が不思議なんですよね。とはいえ、アメリカの返済不要の給付型奨学金は寄付で成り立っているため、そのような文化がない日本では、同様のことはできないでしょう。

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