「10代で社会の一員として働くというイメージが湧かなかったので、大学に行きたかったんです」
今回話を聞いたのは、中部地方出身の木下真麻さん(仮名・32歳)。小学6年生から高校を卒業するまで、保護者のいない児童や保護者に監護させることが適当でない子どもに対して、安心した生活環境を整える児童養護施設(以下、養護施設)で育った。
「うちは長女の私と、3人の弟の4人きょうだいなのですが、父は酒癖が非常に悪く、酔うと家族に暴力を振るうため、子どもたちは常に怯えていました。ついには一番下の弟を妊娠中の母にも手を出してことが決め手となり、小学6年生のときに両親は離婚しました」
暴力癖のある父親について行った理由
話し合いの結果、木下さんは父親の下に。他の3人の弟は母親に引き取られた。なぜ、彼女は暴力癖のある父親について行ったのだろうか?
「私以外のきょうだいみんなが『ママと一緒に住む!』と言ったときに、父は『もうお酒は飲まないから』と、大泣きしたんです。それで、情にほだされて、わたしだけ父について行くことにしました」
ただ、結局父親は酒を断つことできず、変わらず酒癖が悪かったため、堪らず彼女も母親に迎えに来てもらった。
「その頃、母は再婚して新しいきょうだいも2人いたのですが、その再婚相手も家族に暴力を振るい、たびたび警察のお世話になっていたんです。多分、連れ子がいたのが面白くなかったのでしょう。いよいよ、児童相談所(以下、児相)が介入し、児相に保護されることになりました」
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