「脱炭素社会」を制する鍵は蓄電池が握っている 熾烈なバッテリー開発の勝者が得る巨大な果実

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藤沢:日頃、ニュースでAPECやG7について耳にしますが、それらの動きの裏にはエネルギーの問題があるということが、先生の本を読んでわかりました。これからの社会人、特に世界を相手にビジネスする企業の人たちは必修の知識になると感じました。

私たちは、どうしても美しい世界に惹かれるので、環境とか自然再生エネルギーに対して前のめりになりがちですが、実はそんなに簡単な問題ではないし、データで見せられると、再生エネルギーが主流になっているかと思いきや、まだまったくそんなことはないことがわかります。

平田:確かにいまだに化石エネルギーは大きな割合を占めています。ただ、一方で、エネルギーの増加分を見ると再生可能エネルギーなんですね。化石エネルギーをしっかり押さえながらも、中国のように再生エネルギーで世界のリーダーになろうとし、また再生エネルギーの関連産業においても世界のリーダーを目指している国があることを認識しなければなりません。

再生エネルギーは国防にも貢献

平田:化石エネルギーの重要性は国の国力に直結しているものです。しかし、再生エネルギーに手を打っていることも、未来を見据えた場合に大変重要です。それに関連した産業をどの国がリードするのかという問題もあって、資本市場は非化石にどれだけ投資しているかで株主総会が大荒れになるくらい、再生エネルギーに目が向いている。ですから、化石と再生エネルギーのバランスをとる、ということがいま最も大切なことなんですね。

化石エネルギーで負けると戦争に負けるようなところがありますが、私は戦争の本を書くつもりはまったくありませんでしたし、ただエネルギーが国防に直結していることは否めない。それと環境、そして両方を支える経済、3つの「E」のこのバランスが大切ということを知ってもらいたかった。日本以外の国についても、この3つの「E」で見るととても勉強になります。

むしろ、じっくりとファクトを見ていくと、再生可能エネルギーはエネルギー自給率を向上させ国防にも貢献することがわかります。今回の本では、世界のエネルギーを見る際に、共通の基準を入れることができたと思っています。

藤沢:エネルギーの安全保障は、石炭から始まって、石油、LNG、原発、そして現在、再生エネルギーと変わっていっています。安全保障という観点からは、最初は国が投資していかなければいけないから、経済効率性は満たせませんね。

この本にも書かれているように、石油への移行のところで日本は遅れてしまった。それから、天然ガスにシフトするところでロシアはガスプロムをつくって成功し、再生エネルギーへの移行で中国は国を挙げて投資を行いました。最初は経済性の「E」を満たせなくても、先を読んで行動していると言えます。 

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