「脱炭素社会」を制する鍵は蓄電池が握っている 熾烈なバッテリー開発の勝者が得る巨大な果実
藤沢:人間が生きていくために不可欠なのは食糧で、コミュニティーが生きていくためには、人間にとっての食糧にあたるものがエネルギーで、これがなければ、コミュニティーや社会は生存不能だと思います。そう考えると、資源のように絶対になくてはならないものは、国できちんと持たなくてはならない。
それに対する知識がないがゆえに、日本では危機感をあまり感じない状態になっているのではないでしょうか。この本を読むと、各国はそれを政策として、国を維持するために、しかも単線でなくて、たとえば、ロシアと組むけれども、ロシアだけに依存してはいけないので、こちらとも組むというように、きちんとリスク分散していることがわかります。
多様なエネルギーの選択肢を持つべき
平田:そのとおりですね。日本はそれを学ばなければいけないと思うんですね。この本でもフィンランドやスウェーデンのエネルギー自立策に言及していますが、フィンランドやスウェーデンよりも日本のほうが周辺は危ないんですね。なので、そういう現実を直視して危機感をもってもらえたらと思っています。日本こそが多様なエネルギーの選択肢をもっていないと危ないと思うんですね。
LNGに関しては、電力会社やガス会社、そして総合商社という強力なプレイヤーがいたということですね。ところが、石油を開発するということについては、電力会社のような強力なプレイヤーがいなかった。石炭は国営でしたが、なぜか石炭から石油へのトランジションの部分ではそこに向かわなかったわけです。
藤沢:どうして石油については、依存し続けているのか、日本は国営企業をつくらなかったのかとか、この本を読みながら想像するのは面白いと思いますし、それから、次はどうしたらよいのかを考える際に、これだけファクトを示してくれると、次を考えやすいと思いました。
本のなかで再生エネルギーに対する取り組みについても言及されていますが、一度決めたら、周りの国がなんと言おうともやり続けることが大切だと言っています。私も強く共感するところで、太陽光で失敗したのも、続ければよかったのに、経済性というところや他の国があまりやらなそうということでやめてしまったからです。
しかし、水素エネルギーでは日本は先行していますし、太陽光はまだ世界3位の発電量があるわけです。先生からみると、日本は再生エネルギーでどの分野を進めて行けばよいと思われますか。