「脱炭素社会」を制する鍵は蓄電池が握っている 熾烈なバッテリー開発の勝者が得る巨大な果実

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平田:プーチンの指導の下で、それを自国の戦略と政策によって成し遂げた。石油は神さまがくれたものと言うことができますが、天然ガスの場合は自助努力が必要なんですね。もともとロシアはウクライナから天然ガスを輸入していましたが、ガスプロムという強力な国策の天然ガス会社をつくって、先端的なテクノロジーを導入して次々と国内のガス田を開発した。天然ガスは石油に比べて運搬が難しいとされていましたが、パイプラインを巡らせてこの問題も解決した。

天然ガスを国家戦略の中心に

平田:プーチンは天然ガスを国家戦略の中心に据えて、そこへ資源を集中させ、それがうまくいって国力の源泉となった。結果、ロシアは90年代のどん底から見事に国力を回復し、社会も安定し国民の生活も豊かになった。

国民一人あたりのGDPを見ると、2000年頃に比べておよそ5倍になっている。その部分では、プーチンの指導力は評価されています。ウクライナ侵攻で一気に評価を下げてしまいましたけれども。

そして、欧州では、ドイツがロシアの変化をいち早くキャッチし、それに乗っていった。ウクライナでオレンジ革命が起こり、欧米寄りの政権ができたことで、ウクライナを回避したパイプラインをロシアは必要としていた。そこでドイツはウクライナを通らない、バルト海を通って直接ドイツとつながるパイプラインの建設を後押しします。

藤沢久美/国内外の投資運用会社勤務、ソフィアバンク代表等を経て、現在、独立シンクタンク・国際社会経済研究所理事長。その間、経済評論家やキャスターとしても活躍。著書に『最高のリーダーは何もしない』等。
(撮影:今井康一)

トランプ前大統領のように「ドイツはロシアの捕虜」などと言って、ドイツを悪く言う人もいますが、ドイツにしてみれば途中で止まるリスクのあるパイプラインではなく、自国に直結するパイプラインが欲しいと、これは正しい判断だろうと思います。

藤沢:エネルギーというのは、それくらい重要なものなのですね。

平田:そのとおりです。通貨や金融のことは学校で学びますが、エネルギーもそれと同じくらい重要なこととして、学校できちんと教えるべきです。

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