「世界エネルギー地図」の変化は日本再生の大好機 「脱化石」「脱中東」は産業・安全保障にもプラス
基軸通貨ドルの危機
平田竹男(以下、平田):前回、ロシアがなぜこれだけエネルギーの主役になれたのかという話をしました。国営企業で積極的に投資し開発したこともありますが、もう1つ、サウジアラビアと組んだということが大きいですよね。OPECのシェアが落ちていって、価格の統制力がなくなったところで、ロシアが入ってきて、再び世界シェアを高め、発言力を高め、価格統制力を取り戻していきました。
つまり、サウジと組んだことで、ロシアが世界の資源価格の決定権を持った。OPECは石油ですが、それと連動して天然ガスの価格が決まるわけですから、世界で最も天然ガスを供給できる国が自分で価格を決められるようになった。これが一番大きかったですね。
現在、ロシアとサウジは切っても切れない関係になっています。それに加えて、サウジは中国とも接近している。ロシアはドル決済を見直し、サウジも中国との貿易を人民元で決済するという動きがあります。つまり、アメリカの強さに裏付けとなってきた基軸通貨ドルが揺らいできている。これは国際政治において大きなインパクトがありますね。
藤沢久美(以下、藤沢):結局、エネルギーの動向が通貨や覇権にまで影響している。
平田:世界最大のエネルギー輸入国がドルで払わないとなると、影響は大きいですよね。いま中東が大きく変化していて、アメリカの力が完全になくなるとは思いませんが、サウジとロシア、サウジと中国の関係が強くなっていきますので、相対的には低下していきますね。
最近では、サウジとイランの関係修復を中国が仲介したことがニュースになりましたが、中東という地域は、アメリカの仲介・影響力がなくなっていけば、ものすごく大きな力を持つことができる地域になるでしょう。