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「世界エネルギー地図」の変化は日本再生の大好機 「脱化石」「脱中東」は産業・安全保障にもプラス

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  • 平田 竹男 早稲田大学教授/早稲田大学資源戦略研究所所長
  • 藤沢 久美 国際社会経済研究所理事長
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平田:やはり輸出国となったアメリカが大きな影響を与えていく要素もありますが、アメリカで注意しなければならないのが、大統領が変わると、ガラッと政策が変わることですね。韓国とアメリカは政権による振れ幅がとても大きくなりますね。

藤沢:改めて、この本は学生だけではなく社会人も必読の書だと思いますし、とくに海外と仕事をされる方たちにとっては、地理や世界史では教わらないような各国の最新の情報を知ることができます。

また、最近は多くの企業で経済安全保障が重要ということで、安全保障室も立ち上げていますけれども、日本の情報は、アメリカの発信する情報に引き寄せられがちです。一度、この本に書かれているような世界のエネルギー事情やエネルギー地政学といったものを知ったうえで、アメリカ発の情報に接しないと、読み間違えてしまうかもしれません。

世界のエネルギー地図から見えてくるもの

平田:世界のエネルギー地図を知っておくことは、中国やアメリカ、インド、ロシア、欧州だけでなく世界各国の次の動きを予測する助けにもなるでしょう。

エネルギーの世界は、かつてのようにアメリカが君臨していた時代ではなくなってきています。新セブンシスターズと言われるように、アメリカ以外の国が力を持ち始めています。しかし、アメリカがエネルギーの世界から消えてしまうわけではありません。

欧州がロシアからの輸入を制裁している間隙をつき、カタールに負けずにアメリカからLNGが輸出されることになりました。新LNG輸出国として、また再生エネルギーの世界で、「新しいアメリカ」として君臨しようとしていることも事実です。産業の面でもテスラなど、ロックフェラー時代のアメリカとは違った覇権を握ろうとしているのかもしれません。

LNGの輸出に関しては、ベンチャー発の新興企業が中心となって、日本や欧州にLNGを売って成功しています。シェール関係の新興企業は、一時は苦境に立たされましたが、ウクライナ侵攻による資源高、欧州の脱ロシアの流れに乗って息を吹き返しています。

原子力発電については、ジョージア州ボーグル原子力発電所3号機が運転を始めました。1979年のスリーマイル島原発事故後、アメリカで新規原発の稼働は初めてで44年ぶりになります。東京電力福島第一原発事故のような電源喪失時でも原子炉を自動で冷却できる「革新軽水炉」というタイプの原発です。再生エネルギーや産業でも、EVがその象徴ですが、「新しいアメリカ」が世界を席巻するかもしれません。

 いずれにしても、この先、より厳格な地球温暖化対策が要請される中、エネルギーの世界地図が大きく変化することは間違いありません。エネルギー政策に関して正しい選択をすることに、日本の将来がかかっていると言っても過言ではないでしょう。日露戦争から太平洋戦争にかけて、石炭から石油への切り替えを失敗した事態の二の舞にならないことを願います。

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