「世界エネルギー地図」の変化は日本再生の大好機 「脱化石」「脱中東」は産業・安全保障にもプラス

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藤沢:イスラエルと中東諸国の関係も急速に改善されているのを見ると、中東も変わっていくのは間違いないでしょうね。その背景には、アメリカのシェール革命で、エネルギーを自活できるようになり、中東にコミットする必要がなくなったからですね。アメリカは自給自足し、中東はアメリカから離れて、ロシアや中国と組んで影響力を強めていく。

平田:現在の世界の軍事バランスを見ると、急激に変われるとは思いませんけれども、アメリカは、非常時に備えて、中東よりもベネズエラなど自国に近いところのエネルギーへ関心が向いていくでしょうね。

藤沢:その南米とアフリカにも目を向けなければなりませんね。

平田竹男/1960年大阪生まれ。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科教授。早稲田大学資源戦略研究所所長。(当時)通商産業省(現・経済産業省)、日本サッカー協会専務理事などを経て現職。著書に『スポーツビジネス 最強の教科書』等。(撮影:今井康一)

平田:アフリカは明確に欧州と組んでいきますね。現在、北アフリカから南欧のイタリアやスペインにパイプラインが通っていますけれども、それがさらに南に延びて行けば、アフリカのパワーを最大限に発揮できるようになるでしょう。

またアフリカの資源を取り込むことで、欧州は「脱ロシア」を果たしていくことができる。発電を見ても太陽光発電や太陽熱発電でアフリカ欧州間を送電線がつながって行きます。

アフリカはセネガルからアルジェリアまでパイプラインを通す計画があります。そんなものが本当にできるのかと思うのですが、エネルギーの世界では実現してしまうんですね。

世界で加速するパイプライン建設

平田:私が一番驚いたのは、中国とトルクメニスタンやウズベキスタン、カザフスタンといった中央アジア諸国との間にパイプラインが通ったことです。トルクメニスタンという国は天然ガス資源は豊富にあるけれども大陸の中央で出口がなくどこにも売れないというイメージの国だった。また、ミャンマーと中国にもパイプラインが通っている。シベリアと中国もパイプラインがつながっています。

アフリカでは南スーダンで石油がどんどん出ますし、その上のエジプトは経済的に弱い国でアメリカの最大の支援国の1つだったわけですが、そのエジプトで天然ガスが出て、イスラエルもガスが出て、かつては幾度も戦争してきた両国がパイプラインでつながって関係が良くなっている。

アフリカという地域は、暗黒大陸などと言われてしましたが、エネルギーで一気に変わりました。われわれも見方を変えていかなければいけません。資源が出る国というだけでなく、パイプラインが通過する国であっても、そこを通過するということで、そこに産業が興る基盤ができるわけです。

藤沢:アフリカの発展は思っているより早いかもしれないですね。

平田:早いでしょうね。人口構成も若いですから。天然ガスのパイプラインとあわせて、太陽光や太陽熱、風力によるエネルギーが送電線でつながるわけですから、発展の礎である電力の問題はあまり心配しなくてよくなる時代が近くなるかもしれません。

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