さて、冒頭に挙げた「オルカン」だが、「eMAXIS Slimシリーズ」の中では運用資産残高が2位のファンドなのである。残高1位は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」で、こちらは2兆円台半ばの資産残高を持っている。
過去30年くらいにわたって米国株は好調だったし、近年「S&P500が最強だ!」と勧めるYouTuberも複数いて、影響力を持っている。
「S&P500型」よりも「全世界株式」
そもそも全世界株式の約6割は米国株が占めていて、その他の部分も米国株と強い連動性を持っているから、差は大きくないが、筆者はS&P500よりも全世界株式のインデックス・ファンドを勧める。
「異なるビジネス」に分散投資するうえではアメリカの企業に限らないほうがいいし、この点に気づいた同国の大手機関投資家はここ数十年にわたって、米国株のみの投資からグローバル株式に投資対象を広げてきた。また、アメリカの規制や税制の変化などアメリカ企業に固有に発生するリスク要因も考慮の対象になりうる。
さらに、グローバルに分散投資されている投資家の資金を考えると、全世界株式のインデックス・ファンドは多くの場合、運用のベンチマークそのものだし、投資家の持つポートフォリオの「平均」に近い。運用競争では、平均を持ってじっとしていることが有利だ。
分散投資は広いほうが安心だし、このカテゴリーの信託報酬がこれだけ下がったのならなおのこと、全世界株式のインデックス・ファンドのほうを勧めたい。
いずれにせよ、運用商品を1本に絞ると、新NISAの資金マネジメントがシンプルになって扱いやすい。新NISAは、総額1800万円まで利益非課税で投資できるキャパシティーの大きさと、この生涯投資枠を部分解約してもまた使える柔軟性が大きな長所だ。
そもそもお金は使うためにあるのだし、人生にはいろいろな事情が発生する。もちろん、じっと長期で持ち続けることが投資のうえではいいのだが、「流動性」という長所も有効に使いたい。
そう考えると、投資対象を全世界株式のインデックス・ファンドに絞って、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は入金ルールの違いなのだと理解するとわかりやすいし、合理的に扱うことが容易になる。
新NISAで「成長投資枠」と言うと大げさに聞こえるが、単なる一時入金のルールにすぎないと理解しておくといい。
(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末の競馬を予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)
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