同志社大学・太田肇教授の新モチベーション論(第3回)--古くて新しい大家族主義経営とは?

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■モリワキファンづくり

お客様からアンケートがたくさん返ってきた店や高評価が多かった店、またお客様から菓子などの差し入れがたくさん届いた店は、それだけファンが多いという理由で表彰することにしている。社員からの提案で取り入れられた賞である。

■表彰旅行

表彰されたメンバーと社長または専務が一緒に、1泊2日の旅行に行く。社長や専務が自ら社員送迎用バスを運転し、近くの観光地などに出掛けるのだという。社長や専務は運転手、兼添乗員、兼カメラマンであり、家族主義経営を自認するこの会社らしい。

では、このようなスタッフの感動や喜びを大切にするマネジメントへと舵を切った結果、業績にどんな変化が表れたのか?

短期的な業績を追求していた頃に比べると、導入当初はいったん売り上げがダウンした。しかし、スタッフが辞めなくなった。そして、やがて売り上げも徐々に上がっていったという。職場の雰囲気を良くしたり社員の満足感を高めたりすることは、即効性はないものの長期的には経営にもプラスになるのだ。

かつてこの会社は「古くて新しい大家族主義」と雑誌で紹介されたそうである。表彰制度も、そうした社風とうまくマッチしている。

おおた・はじめ
同志社大学政策学部教授。日本表彰研究所所長。神戸大学大学院経営学研究科博士前期課程修了。京都大学経済学博士。滋賀大学教授などを経て2004年より現職。著書に『「不良」社員が会社を伸ばす』『認め上手』など多数。

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